資本金1円の設立って?
資本金1円で株式会社設立、その落とし穴
わが国では、現在、4種類の会社の設立が認められています。株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の4種類です。上記、4種類の会社のうち、一般的には株式会社が現代の会社制度の中心となっています。
なぜなら、株式会社は社員の責任が間接有限責任であり、さらに、株式の譲渡が原則として自由であり、大規模株式会社の場合には株式の流通性が証券市場を通じて確保されていることから、社会の遊休資本を集めるのに適しているからです。
これから、起業をするにあたって、株式会社設立をしようと考えている方は多いのではないでしょうか。
会社法では、社員(出資者)の責任の態様に基づいて、上記の4種類の会社に分類しています。合名会社は、無限責任社員、すなわち、会社債権者に対し直接無限責任を負担する社員のみからなる会社です。
合資会社は、無限責任社員と直接有限責任社員とからなる会社です。有限責任社員はまだ履行していない出資額について直接連帯の責任を負う点は無限責任社員と同じですが、出資額を限度とする有限責任を負うに過ぎません。株式会社は、その有する株式の引受価額を限度とする間接・有限責任を負うに過ぎない社員(=株主)のみからなる会社です。
株式会社設立にあたっては、資本金1円で理論上設立することは可能です。株式会社設立のハードルが下がって素晴らしいことと思われるかもしれません。
しかし、実際は、1円では株式会社の経営・事業を進めていくのは大変難しいです。資本金は、会社の体力・規模を一般的に表すと言われています。実際に、株式会社設立時の資本金が1円であると、会社としての信用を得るには難しいでしょうし、資本金は事業の運転資金でもあるため、事業を進めていくのも厳しいでしょう。
さらに、金融機関から融資を受けることを考えている場合、資本金1円では、融資を受けることはほぼ無理と言えるのではないでしょうか。
株式会社設立は、合名・合資会社の設立に比べて、手間がかかります。それは、有限責任社員のみであるため、比較的ちゃんとした経営をしていかなければならないからです。合名・合資会社の設立が、株式会社設立に比べて楽であることは、無限責任社員がすべて責任を負わなければいかないからです。
独立開業するにあたって、株式会社設立は1円からできるとはいえ、現実には、資金の裏付けがなければ厳しいです。しっかりとした準備をした上で、設立の申請をするようにしましょう。